RFIDタグの中でも価格が安く比較的取り入れやすいシール・ラベルタイプのタグですが、値段だけで購入する製品を決めていませんか?実は同じシール・ラベルタイプのタグであっても、大きさや性能が異なるため、RFIDの導入効果を高めるためには現状に基づいた要件を固めることが大切です。
本記事ではシール(ラベル)型RFIDタグの特徴やメリット、価格、選び方などを紹介しているので、新たにRFIDを導入する方も、異なるタグを検討している方もぜひご覧ください。
シール(ラベル)型RFIDタグは以下のような特徴・メリットがあり、商品の追跡や在庫管理、資産管理など幅広い場面に活用されています。
では、それぞれについて詳しく見ていきましょう。
シール(ラベル)型RFIDタグの最大の特徴は、その取り付けの容易さです。裏面が接着剤でコーティングされているため、任意の表面に簡単に貼り付けることができます。特別な工具や追加の装置を必要とせず、作業者を選ばないため導入もスムーズです。
また、さらに効率化を検討している場合には多関節ロボットとの組み合わせも可能。シールの貼り付けまで自動化することで、人件費の削減や業務負荷の軽減にもつながります。
シール(ラベル)型RFIDタグは他のタイプのRFIDタグと比較して製造コストが低い傾向にあり、大量に導入する場合でもコストを抑えることができます。既製品も数多くあるため入手しやすく、予算に応じた選択も可能です。費用の限られた企業でもRFID技術を活用しやすくなり、広範囲にわたる在庫管理や資産追跡を実現できます。
シール(ラベル)型RFIDタグは希望のサイズや形状に応じてカスタマイズでき、さまざまな業種や用途に合わせた仕様での製造ができます。設置場所や用途に適した形状のタグを選択できるため、作業効率の改善にも貢献。小さな工具から大きな機械まで、どんな商品にもフィットするタグを提供できます。
シール(ラベル)型RFIDタグは製品に穴を開けたりネジで固定したりする必要がないため、製品自体を損傷することなく導入できます。たとえば家具や精密機器などにも安心して設置でき、必要に応じて剥がすことも可能。瓶など曲面があってタグの固定が難しい場合でも、シールであれば簡単です。
RFIDタグはバッテリーの有無によって「アクティブ型」や「パッシブ型」などに分けられますが、シール(ラベル)型RFIDタグの場合はバッテリーを持たない「パッシブ型」が利用されることが多いです。
また、性能や周波数などによって種類が分けられるため、使用する環境や目的によって適切な製品を選択することが大切。たとえば性能であれば以下のような分類があります。
ほかにも小型や丸型、細長いタイプなどシールの形状自体もさまざまで、粘着剤の種類を選べる場合もあります。シール(ラベル)型RFIDタグには多様な種類があるため、取り扱う製品に合うタイプが何なのかをメーカーに相談してみるのもよいでしょう。
様々な用途に対応可能なRFIDタグを幅広くラインナップ。必要な時にすぐにプリンターで印字発行可能なラベルタイプ金属対応RFIDタグをはじめ、優れた耐衝撃性、耐熱性で5㎜×5㎜~25㎜×95㎜までサイズラインナップが豊富な「FR4金属対応タグ」、長距離読取性能を備え、屋外使用にも適した「プラスチックケースタグ」、300℃まで耐えられる「耐熱タグ」、価格を抑えた「インデックスタグ」などの製品も揃えています。
シール(ラベル)型RFIDタグの価格はタグの種類や使用する材料、生産数、カスタマイズの程度などによって変動しますが、他のタグより低コストな場合が多いです。ただし、高度なデータ記憶能力や耐環境性を持つタグは一般的なタグよりも値段が上がります。
たとえば通常のRFIDラベルは100枚セットが3,000円前後(1枚あたり30円)で入手できますが、金属対応のタグは1枚あたり100~800円程度と高い傾向にあり、価格も幅広いです。
ですが一方でRFID技術の普及とともにシール(ラベル)型RFIDタグの生産コストは徐々に低下しており、今後は低コストで提供されるようになることも予想されます。シール(ラベル)型の場合はプリンタなども必要になるため、導入する際は全体感を把握したうえで予算やスケジュールを検討するとよいでしょう。
製造業での在庫管理や小売業でのレジ処理、図書館の貸出システムなどさまざまな場面で活躍している「RFID」。その多様性から、自社でも「在庫や資産のデータを正確かつ効率的に管理したい」「顧客体験を向上させたい」などの目的でRFIDを導入したいという...
シール(ラベル)型RFIDタグは取り扱いやすいため、在庫管理や資産管理などの目的で広く利用されています。こちらではシール(ラベル)型RFIDタグの基本的な使用方法を紹介します。
シール(ラベル)型RFIDタグの使用は非常に簡単です。あくまでも一例ですが、以下を参考に使用時を想定してみてください。
RFIDプリンタを使用して、タグに必要な情報を書き込みます。この過程で、商品の流通履歴や在庫情報がデータベースに連携されます。
タグを貼り付ける表面を清掃し、油分や汚れがないことを確認します。これにより、接着性が向上し、タグの耐久性が保たれます。
シール(ラベル)型RFIDタグの裏紙を剥がし、対象物に直接貼り付けます。圧力を均等にかけることで空気の入り込みを防ぎ、接着を強化します。また、貼り付ける際はラベルがしわにならないように丁寧に行うことが大切です。
シール(ラベル)型RFIDタグの技術は多くの業界で運用改善に貢献しています。
以下では、経済産業省に掲載された「令和3年度流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業(電子タグのサプライチェーンの実態等調査)調査報告書」を参考に具体的な成功事例を紹介し、これらのタグがどのように業務効率化やコスト削減、情報管理の最適化を実現しているかを解説します。
参考:IoT等を活用したサプライチェーンのスマート化|経済産業省
AGC株式会社は機密文書の所在管理を目的として2014年にRFIDを導入。文書にUHF帯のICタグを貼り付け、所在の確認をスムーズに行えるようにしました。
蔵書数は13,000冊。導入前は半期に1回のペースで2~3人が10日ほどかけて作業しており、所在のわからない文書を約1ヶ月かけて探すこともありましたが、RFIDシステムを導入したことで棚卸作業が不要に。さらに利用者のセキュリティ意識が向上し、未返却文書が生じるケースもなくなりました。
小西医療器株式会社は、すべての物品にシール(ラベル)型RFIDタグを貼付し、入荷~出荷〜消費されるまでの流れを管理。たとえば手術に使用する材料に関して、2人1組で商品情報の期限やロットなどを確認していましたが、RFIDを導入してからは1名での作業が可能となり、管理にかかっていたコストを80%削減しました。
また、シールを貼るためのロボット(オートラベラー)や重量検品付きのオートパッカーも導入するなど、多方面から自動化を推進。ヒューマンエラーを防止し、効率化を実現しています。
シール(ラベル)型RFIDタグの選び方として、使用目的や環境条件、必要な読み取り距離とメモリ容量、そして予算が挙げられます。
これらの要素を慎重に検討し、最適なタグを選択することで、RFIDシステムの効果を最大限に引き出すことが可能になります。適切なタグの選択は効率的な運用とコスト削減につながるため、以下の流れを確認して最適なタグを見つけましょう。
タグ選びの最初のステップは、使用目的を明確にすることです。RFIDタグがどのような環境で使用され、どのような情報を管理するために利用されるのかを理解しましょう。たとえば、在庫管理に使用する場合と高価な資産の追跡に使用する場合では、求められるタグのスペックが異なります。
RFIDタグはさまざまな環境条件下で使用されます。たとえば外部環境にさらされる場合は耐水性や耐熱性が求められる場合があります。また、金属や液体の近くで使用するのであればそれらの影響を受けにくいタグを選ぶ必要があります。
タグの選択における重要な要素として、読み取り距離とメモリ容量も挙げられます。利用する環境や目的に応じて、適した読み取り距離とデータ保存量を満たすタグを選ぶことも大切です。一般に、パッシブタグは読み取り距離が短くコストも低い一方で、アクティブタグはより遠い距離から読み取りが可能ですがコストが高くなる傾向にあります。
予算はRFIDシステム導入時に意識すべきポイントのひとつです。大量購入する場合は単価交渉が可能な場合もあるため、事前に複数のメーカーから見積もりを取ることをおすすめします。RFIDは導入後の運用期間が長くなる可能性が高いため、長期的なコスト効果を考慮に入れるとよいでしょう。
シール(ラベル)型RFIDタグは数多くの企業が取り扱っていますが、それぞれが異なる強みを持ち、特定のニーズに応じたRFIDタグの提供が可能です。ここでは、おすすめメーカーとして以下の3社を紹介します。
画像引用:シーレックス株式会社
東京都台東区に本社を構えるシーレックス株式会社は、RFIDソリューションの開発において独自の技術を持つ日本の企業です。ラベル印刷加工メーカーとして幅広い種類のシール(ラベル)型RFIDタグを取り扱っており、耐水性に優れた製品や金属対応の製品もあります。
また、近距離向けのHF帯ICラベルと長距離読み取りが可能なUHF帯ICラベルの両方を用意。データがあれば同社が情報を印字することもでき、スピーディーな導入も可能です。
東京都港区のサトーホールディングス株式会社は、バーコードやRFIDなどの「自動認識技術」に強みをもつ企業です。シール(ラベル)型RFIDタグだけでなく、RFID対応のラベルプリンタなどの関連機器も提供。RFIDを活用した資産管理パッケージや入出荷・在庫管理システムも用意しており、現場に適した導入を検討できます。
また、リストバンド型や洗濯可能なリネンタグなど幅広い用途に対応でき、シール(ラベル)型以外も含めた提案も可能です。
Zebra Technologiesはアメリカ・イリノイ州に本社をもつ国際的な企業で、日本では東京と大阪に拠点があります。
特にRFIDプリンタやタグの技術において業界をリードしており、業界最大級の在庫を保有。世界中に広がるネットワークを通じて一貫した品質とサポートを提供し、ラベルのカスタマイズや印刷/エンコードサービスなども対応しています。
シール(ラベル)型RFIDタグは、その汎用性とコスト効率から広く採用されています。本記事ではRFIDタグの種類や価格、選び方、使用方法などを解説しましたが、自社のニーズに最適な製品を見つけるためには比較が大切です。
ものづくり特化の製品比較サイト「fabiz」では、RFID関連の製品カタログを無料でダウンロードできます。シールタイプのRFIDタグを印刷できるプリンターや金属対応のタグに関するカタログもあるので、導入をご検討中の方はぜひご利用ください。
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