多くの電子機器に内蔵されている「プリント基板」。製品の小型化や高機能化に欠かせない部品のひとつですが、種類や材質によって特性が異なるため、発注時には適切に判断する必要があります。
本ページではプリント基板の基本情報や種類、発注時の注意点、製品一覧などを紹介しているので、プリント基板について知りたい方だけでなく、「プリント基板を製造する流れを確認したい」「プリント基板の発注先を探している」という方もぜひご覧ください。
双和電機株式会社は、小ロットに特化した産機専門の基板実装会社です。平均ロット数は約20台、年間4,000機種の生産実績がありながら、資材の自己調達比率は90%を超えています。
まずはプリント基板の基本情報として、定義や主要な材質について紹介します。
プリント基板(PCB:Printed Circuit Board)とは、電子部品を結び付けて電気的に接続するための板状の素材です。電子部品を効率的に配置して信号や電力を適切に伝達するために設計されており、形状やサイズは多岐にわたります。基礎や土台を意味する「基盤」と混合して使用されることもありますが、電子回路を形成する工程においては「基板」が適切です。
プリント基板の製造には、「FR-1、2(紙とフェノール樹脂)」や「FR-4(ガラス繊維製の布とエポキシ樹脂)」などの材質が使用されます。FR-4は耐久性に優れており、多くの電子機器に用いられている材質です。一方、FR-2はコストが低いものの、耐熱性や耐久性はFR-4に劣ります。
身の回りの製品だけでなく特殊な用途の機器まで幅広く用いられているプリント基板ですが、用途によって必要とされる性能が異なります。こちらでは使用用途を数パターンに分けて紹介しますので、自社が発注する際はどのパターンに当てはまるのか確認しましょう。
日常生活で使用されるスマートフォン、テレビ、ラジオなどのコンシューマー電子製品には、プリント基板が使われていることがほとんどです。これらの場合は小型化や軽量化などによって製品の大きさに適応できる基板が求められます。
産業用途では、制御システムやセンサー、ロボットなどにプリント基板が使用されます。これらの機器では、耐久性と信頼性が求められるため、高品質な基板が必要です。
宇宙探査機器、軍事通信システム、医療機器など、特殊な用途で使用される電子機器にもプリント基板が活躍しています。これらのアプリケーションでは、極端な環境下での性能が重要です。
特定の要件に合わせた設計が必要となる製品や既存の電子機器の修理にもプリント基板は使用されます。たとえばパターン間の距離がきわめて狭い基板や製造中止となった製品の基板など特定のニーズに合わせて対応。試作や部品の置き換えなどを行うことで、電子機器の製造や修理が可能です。
プリント基板は電子機器の設計と機能において中心的な役割を果たすため、発注を検討する際は基板の種類と特徴を理解することが非常に重要です。ここではプリント基板の主要な種類とその用途、選択基準について詳しく解説します。
片面プリント基板は、ひとつの導電層を持つ最も基本的なタイプです。これらは低コストでの製造が容易であり、シンプルな電子機器に適しています。たとえば、消費者向け電子製品やLED照明などに使用されます。
両面基板は、両面に導電層があるタイプの基板です。片面基板よりも複雑な回路を実現でき、家電製品など多くの電子機器で広く使用されています。
多層基板は、複数の導電層を持つ基板です。それぞれの層は絶縁材料で分離されていますが、3層以上にすることで高密度の配線ができ、高度な電子機器の製造が可能となります。多層基板はスマートフォンやコンピューターのような複雑なデバイスに使用されます。
リジッド基板は、硬い素材で製造される、曲げることのできない基板です。電子機器の中で最も一般的に使用されるタイプで、固定しやすいことから実装が容易だとされています。
フレキシブル基板は、柔軟性を持つ特殊な材料で作られた基盤です。曲げられることから、カメラのズームレンズや折りたたみ式電子機器などスペースが限られていたり動きが必要だったりする製品に適しています。
そのほかにも、リジッドとフレキシブルの両方を掛け合わせた「リジッドフレキシブル基板」や、放熱性に優れた「メタルベース基板」などがあり、さまざまな用途に対応できます。
プリント基板の種類を選ぶ際には、使用される電子機器の複雑さ、必要な柔軟性、耐久性、コストなどを考慮することが大切です。たとえば片面基板はコストが最も低く、シンプルなアプリケーションに適していますが、複雑なデバイスには多層基板やリジッドフレックス基板が必要になることがあります。プリント基板を取り扱う企業によっては、設計から請け負っているところもあるため、製造する製品に適した種類から相談してみるのもおすすめです。
プリント基板の製造は精密な設計と工程によって行われますが、どのような製造工程を経て完成するかで品質は変わってきます。企業のなかには幅広く対応しているところもありますが、求める品質に基づいて「どの技術を採用している企業にお願いするか」を判断することは非常に大切です。こちらではプリント基板の製造工程を簡単に紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
プリント基板の製造は、詳細な設計から始まります。設計プロセスでは、電子回路の機能要件を満たすために回路の設計や配置する部品の選定、配線のルート設定などを実施。設計者は、電子設計自動化(EDA)ソフトウェアを使用して、回路図をもとに基板のレイアウトを作成します。
プリント基板の製造工程は、基板材料の準備や不要な銅の除去、穴あけ、めっき、部品の取り付けなど、複数のステップで構成されます。これらのプロセスは、基板の種類や設計によって異なります。
工業製造では、高度な自動化設備と厳格な品質管理が特徴です。大量生産に適しており、一貫した品質と高い信頼性を実現します。一方、自作の場合は個人や小規模なプロジェクト向けで、手作業や簡易的な設備を使用します。コストは低いですが、複雑なデザインや高精度を要求するアプリケーションには不向きです。
製造業においてプリント基板の発注は製品の品質と性能に直接影響を与える重要な工程ですが、大量生産を得意とするか、小ロットかつ多品種に対応できるかなど企業によって生産能力はさまざまです。適切な発注先・メーカーの選定はプロジェクトの成功に不可欠なので、発注時の注意点や国内のおすすめ発注企業、カスタムオーダーのプロセスについて解説します。
プリント基板を発注する際には、発注先の技術力と信頼性、実績を確認し、製品の品質基準、納期、コスト、アフターサービスなどを事前に明確にしておくことが重要です。また、製造する基板の用途や性能要件に合わせた適切な材料・製造プロセスを提案してくれるかどうかも発注先を選ぶ指標にしましょう。
日本国内には、京セラ株式会社や株式会社メイコー、日本メクトロン株式会社など高品質なプリント基板を製造する企業が多く存在します。いずれも高い技術力と信頼性で知られていますが、メイコ―はリジッド基板、日本メクトロンはフレキシブルプリント基板など各社の強みはさまざまです。また、双和電機株式会社のように小ロット・多品種少量生産を得意とする企業もあります。
カスタムオーダーのプリント基板を発注する場合、まずは詳細な仕様と要件を明確にすることが必要です。これには、基板のサイズや層の数、使用する材料などが含まれます。発注先との密なコミュニケーションを通じて設計図や試作品の確認を行い、最終的な製品が要件を満たしていることを確認します。
プリント基板の発注先を選ぶ際、特に意識したいポイントは以下のとおりです。
細かく分けると対応可能な基板のサイズ・層や部品調達が必要かどうかなども異なります。得意とする分野もさまざまなので、事前に必ず確認するようにしましょう。
プリント基板の発注先を選ぶ際には、複数のメーカーを比較検討することが重要です。各メーカーの製品仕様や価格、納期、サポート体制などを比較することで、最適な選択が可能になります。
企業のカタログにはプリント基盤の発注に役立つ情報が掲載されているので、プリント基板の発注を検討している場合は、ぜひ資料請求を活用して最適な発注先を見つけてください。